日本における箱庭療法

子ども(こども)のうつ病(うつびょう)治療(ちりょう)として、三環(わ)系(けい)抗うつ薬(こううつやく)の投薬(とうやく)治療(ちりょう)に並行(へいこう)して推奨(すいしょう)されているのが箱庭(はこにわ)療法(りょうほう)や遊戯(ゆうぎ)療法(りょうほう)などの心理(しんり)療法(りょうほう)です。日本(にっぽん)では箱庭(はこにわ)療法(りょうほう)は河合(かわい)隼雄(はやお)が1965年(ねん)に紹介(しょうかい)しました。箱庭(はこにわ)療法(りょうほう)は英国(えいこく)で発表(はっぴょう)されて以来(いらい)、欧米(おうべい)・ヨーロッパで広く(ひろく)用い(もちい)られていますが、実際(じっさい)、欧米(おうべい)と比較(ひかく)して非(ひ)言語的(げんごてき)表現(ひょうげん)の多い(おおい)日本(にっぽん)の文化(ぶんか)においてこのような自己表現(じこひょうげん)方法(ほうほう)は適(てき)しているといえるかもしれません。もともと「砂遊び(すなあそび)療法(りょうほう)」といわれていたのを、「箱庭(はこにわ)療法(りょうほう)」と名称(めいしょう)したのは河合(かわい)隼雄(はやお)です。日本(にっぽん)には古く(ふるく)から箱庭(はこにわ)で遊ぶ(あそぶ)文化(ぶんか)がありました。お盆(おぼん)の上(うえ)に石(いし)を置き(おき)、風景(ふうけい)を作る(つくる)盆石(ぼんせき)や、盆山(ぼんさん)・盆景(ぼんけい)です。江戸時代(えどじだい)末期(まっき)から明治(めいじ)初期(しょき)にかけて多く(おおく)の流派(りゅうは)があったといいます。盆石(ぼんせき)遊び(あそび)というのは、その遊び(あそび)を通し(とおし)て事故(じこ)を表現(ひょうげん)する方法(ほうほう)だったのです。中間子論(ちゅうかんしろん)の提唱(ていしょう)など、原子核(げんしかく)・素粒子(そりゅうし)物理学(ぶつりがく)の発展(はってん)に大きな(おおきな)功績(こうせき)をあげ、日本人(にほんじん)初(はつ)のノーベル賞(のーべるしょう)受賞者(じゅしょうしゃ)となった湯川(ゆかわ)秀樹(ひでき)は、幼い(おさない)頃(ころ)、盆石(ぼんせき)遊び(あそび)をして「自分(じぶん)の世界(せかい)を作っ(つくっ)ていた」といいます。このような古く(ふるく)からの遊び(あそび)や風習(ふうしゅう)が現在(げんざい)の日本(にっぽん)の精神(せいしん)治療(ちりょう)における箱庭(はこにわ)療法(りょうほう)の土台(どだい)となっているのでしょう。現在(げんざい)では、学校(がっこう)や病院(びょういん)でのカウンセリンググループや、心理(しんり)療法(りょうほう)一般(いっぱん)、さらに少年(しょうねん)鑑別所(かんべつしょ)などの機関(きかん)で箱庭(はこにわ)療法(りょうほう)は活用(かつよう)され、急速(きゅうそく)に発展(はってん)、普及(ふきゅう)し、日本(にっぽん)独自(どくじ)の展開(てんかい)をしめしています。1985年(ねん)には国際(こくさい)箱庭(はこにわ)療法(りょうほう)学会(がっかい)が設立(せつりつ)されました。日本(にっぽん)では、日本(にっぽん)箱庭(はこにわ)療法(りょうほう)学会(がっかい)があります。

うつ病

子どものうつ病治療として、三環系抗うつ薬の投薬治療に並行して推奨されているのが箱庭療法や遊戯療法などの心理療法です。

うつ病