自尊心

うつ病(うつびょう)の患者(かんじゃ)は、自尊心(じそんしん)を失っ(うしなっ)ていることが多い(おおい)という考え(かんがえ)から、欧米(おうべい)のうつ病(うつびょう)治療(ちりょう)では薬物(やくぶつ)療法(りょうほう)と並行(へいこう)して、カウンセリングによる患者(かんじゃ)の自尊心(じそんしん)の快復(かいふく)が行われる(おこなわれる)のが一般的(いっぱんてき)です。自尊心(じそんしん)、および自尊(じそん)感情(かんじょう)というのは、自己(じこ)の存在(そんざい)やあり方(ありかた)を大切(たいせつ)に思う(おもう)感情(かんじょう)をいいます。self-esteemという訳語(やくご)があてられることが多い(おおい)です。プライドや傲慢(ごうまん)、驕り(おごり)、および自惚れ(うぬぼれ)とは異なる(ことなる)ものです。精神(せいしん)医学的(いがくてき)な意味(いみ)での自尊心(じそんしん)とは、ありのままの自分(じぶん)を受け入れ(うけいれ)、誇り(ほこり)をもつということです。また日本語(にほんご)におけるプライドとは、自惚れ(うぬぼれ)や傲慢(ごうまん)さを意味(いみ)することがあり、自尊心(じそんしん)とは区別(くべつ)する必要(ひつよう)があります。プライド(pride)は、肯定的(こうていてき)な意味(いみ)で使わ(つかわ)れないことが多く(おおく)、キリスト教(きりすときょう)においても人間(にんげん)を罪(つみ)に導く(みちびく)可能性(かのうせい)があるとみなされる欲望(よくぼう)や感情(かんじょう)をあげた、「7つの大罪(だいざい)」とされています。自己(じこ)肯定感(こうていかん)は人格(じんかく)形成(けいせい)や情緒(じょうちょ)の安定(あんてい)に重要(じゅうよう)であると考え(かんがえ)られます。自尊心(じそんしん)のない者(しゃ)は自分(じぶん)を信用(しんよう)することができませ。そのため自分(じぶん)の能力(のうりょく)に対(たい)してさえ懐疑的(かいぎてき)になってしまい、主体性(しゅたいせい)や自信(じしん)を形成(けいせい)することができず、何も(なにも)できなくなってしまいます。また、自尊心(じそんしん)の欠如(けつじょ)は、自制心(じせいしん)(セルフ・コントロール)の喪失(そうしつ)を招き(まねき)、アルコールや薬物(やくぶつ)に対(たい)する依存症(いぞんしょう)や、過食症(かしょくしょう)・拒食症(きょしょくしょう)などの摂食(せっしょく)障害(しょうがい)といった精神(せいしん)障害(しょうがい)を招く(まねく)こともあります。ただし、うつ病(うつびょう)の治療(ちりょう)においては過度(かど)の励まし(はげまし)は自尊心(じそんしん)の快復(かいふく)でなく、単なる(たんなる)プレッシャーを与える(あたえる)だけにならないよう注意(ちゅうい)することが大切(たいせつ)です。プレッシャーは、事態(じたい)をますます悪化(あっか)させる恐れ(おそれ)があるからです。

うつ病

うつ病の患者は、自尊心を失っていることが多いという考えから、欧米のうつ病治療では薬物療法と並行して、カウンセリングによる患者の自尊心の快復が行われるのが一般的です。

うつ病